トイレのトラブルの中でも特に判断が難しいのが、小さな子供がいる家庭で発生するケースです。あるご家庭の事例では、数日前からトイレの流れが少しずつ悪くなり、用を足すと一度水位がぐんと上がって、その後スーッと引いていくようになったという相談がありました。ご両親は「トイレットペーパーを使いすぎたのだろう」と考え、市販の薬剤やラバーカップで対処しようとしましたが、一向に改善の兆しが見えません。それどころか、作業を繰り返すうちに、水が引くスピードはさらに遅くなっていきました。業者が訪問して便器を取り外したところ、排水路のS字カーブの途中に、小さなプラスチック製のミニカーが横向きに挟まっていました。そのミニカーがひっかかりとなって、流したトイレットペーパーがそこに少しずつ絡まり、網のような状態を作っていたのです。水がスーッと引いていたのは、その網の隙間から水だけが辛うじて通り抜けていたためでした。このように、固形物が原因で起きる水位上昇とスローな排水は、トイレットペーパーだけの詰まりとは性質が異なります。ラバーカップで圧力をかけると、絡まったペーパーは一時的にほぐれますが、芯となっている固形物はさらに奥へと移動し、より狭い通路で完全にロックされてしまいます。この事例から学べるのは、トイレの水位が不自然な動きを始めた際、家族、特に子供に「何か落とさなかったか」という確認を行うことの重要性です。子供は叱られるのを恐れて、咄嗟に物を落としたことを隠してしまうことがあります。また、おむつや生理用品、掃除用のスポンジなどは、水分を吸って膨らむ性質があるため、一度排水管に入り込むと、最初は水を通しますが、時間が経つほどに巨大な栓となって排水を完全に遮断します。水が引くという現象は、あくまで「まだ隙間がある」という一時的な状態を指しているに過ぎません。その隙間がなぜできているのか、原因を突き止めずに作業を続行することは、見えない敵と戦うようなものであり、極めて非効率でリスクが高い行為であることを、私たちはこの事例研究から知るべきです。
子供が誤って物を落とした際に起きるトイレの独特な水の引き方と事例研究