昨夜の出来事は、私にとってまさに悪夢のような時間でした。夕食後、少し多めにトイレットペーパーを使ってしまった自覚はあったのですが、レバーを引いた瞬間に水位が不気味に上昇し始めたとき、背筋が凍るような思いをしました。便器の淵ギリギリで水が止まったのは、不幸中の幸いと言うべきでしょうか。あと数ミリ水位が高ければ、トイレの床は見るも無惨な状態になっていたはずです。私はパニックになりかけましたが、以前に友人から聞いた話を思い出しました。トイレットペーパーの詰まりなら、一晩寝て待てば勝手に直ることもある、というあのアドバイスです。正直なところ、そんなに都合よく物事が運ぶとは思えませんでしたが、深夜に高い追加料金を払って業者を呼ぶ決心もつかず、私は一か八かの賭けに出ることにしました。まず、家族に「朝までトイレは使用禁止」という厳命を下しました。そして、万が一の溢水に備えて便器の周りに新聞紙と古タオルを敷き詰め、祈るような気持ちでドアを閉めました。布団に入っても、もし配管が破裂したらどうしよう、あるいは階下の住人に迷惑をかけたらどうしようといった不安が頭をよぎり、なかなか眠りにつくことができませんでした。しかし、夜中の三時頃にふと目が覚めて様子を見に行くと、驚いたことにあんなに高く溜まっていた水位が、通常の状態よりも少し低いくらいまで下がっていたのです。懐中電灯で照らしてみると、水面には少しだけ解けた紙の破片が浮いており、詰まっていた固まりが水の力でほぐされたことが素人目にも分かりました。私はまだ油断はできないと思い、バケツに汲んだ水を高い位置から少しずつ流し込んでみました。すると、ゴボゴボという独特の音とともに、水が吸い込まれるように流れていったのです。あの瞬間の解放感は言葉では言い表せません。結局、業者の世話になることもなく、私は自力、厳密には時間の力だけでこの難局を乗り切ることができました。この経験から学んだのは、トラブルに直面したときこそ冷静に状況を分析することの大切さです。何でもかんでもすぐに業者を呼ぶのではなく、原因が自分の不注意によるトイレットペーパーの使いすぎだと分かっているなら、少し待ってみるという選択肢が有効であることを身をもって知りました。もちろん、これがもし時計や指輪を落とした結果だったら、待つことは逆効果だったでしょう。今回の幸運は、原因を把握していたことと、パニックになって無理に水を流し続けなかったという、二つの冷静な判断がもたらしたものだと確信しています。今ではトイレを使うたびに、あの冷や汗をかいた夜を思い出し、紙の使用量には細心の注意を払うようになりました。