その水漏れ、床下の腐食を招く危険なサインかも
トイレの床にできた水たまり。それを単なる水漏れと軽視していると、後々、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。特に、便器の根元や床との設置面から水がじわじわと滲み出ている場合、それは床下で深刻な問題が進行している危険なサインかもしれません。トイレの床は、フローリングやクッションフロアで覆われていますが、その下には合板などの木材でできた下地材があります。水漏れによって床材の表面が常に湿った状態にあると、水分は徐々にその下の木材へと浸透していきます。木材は水分を吸収すると、強度を失い、腐食し始めます。最初は床が少し柔らかく感じる、歩くとギシギシと音がするといった程度の変化かもしれませんが、これを放置すると、腐食はさらに進行し、床が抜け落ちてしまうという最悪の事態に至る危険性すらあるのです。さらに、湿った木材はカビやシロアリにとって絶好の繁殖場所となります。床下に発生したカビは、アレルギーや喘息といった健康被害を引き起こす原因となりますし、独特の不快な臭いを放ち、快適な生活空間を奪います。シロアリが発生すれば、床下だけでなく、家の土台や柱といった構造上重要な部分まで食い荒らされ、建物の耐久性を著しく低下させてしまう恐れもあります。もし、水漏れが原因で床の張り替えや下地材の補修、防カビ・防蟻処理が必要になった場合、その費用は数十万円から百万円を超えることもあり、単なる水道修理の費用とは比較になりません。トイレの床が濡れていることに気づいたら、それは「水が漏れている」という事実だけでなく、「家の寿命が縮み始めている」という警告でもあるのです。被害を最小限に食い止めるためにも、決して放置せず、できるだけ早く原因を特定し、専門家による適切な処置を講じることが何よりも重要です。